タイ南部への旅行記
2013.12.−記
第1日目 ソイ33通り ホテルがない いい食堂を発見
第2日目 単独行の買春男性 盤上遊戯を発見 ドンムアンへ ハート・ヤイへ
第3日目 厳しいハート・ヤイ 大遅延の列車
第4日目 スラー・ターニー 猿の椰子の実取り 豪華深夜バス
第5日目 マンダリン 見えない盤上遊戯 見えたチンチロリン
第6日目 カンチャナブリー 戦場にかける橋 バスのスピード競争
第7日目 バンコックの王宮 盤上遊戯を発見 最後が失敗
第8日目 別離の朝 雨中居のトップに戻る


第3日目−1  厳しいハート・ヤイ

 タイではどこにでも寺院がある。
この街も例外ではなく、ワット・ハート・ヤイ・ナイという寝釈迦を奉った寺院がある。
そこまで行くために、トクトクと交渉する。
この街のトクトクは、バンコックとは違って軽自動車の荷台である。
日本の軽自動車の荷台に幌を付けて、両側にベンチを設えたのが、この街のトクトクだ。
ソンテオと言うべきだろうが、決まった路線を持っているわけではなく、客の要望に応じて何処へでも行く。

 日本の軽自動車だから、トクトクのように騒々しくない。
夜景は素晴らしい市場だが
悪臭漂う生鮮食品売場あたり

たぶん現地の人はトクトクとは言わずに、実際には名前も違うのだろう。
運転席には奥さんを乗せていたり、友達を乗せていたりと、気楽な稼業に見える。
たくさんのトクトクが街をながしており、すぐにつかまえることができる。
もちろん値段は交渉だ。
行き先をいうと金額を言ってくるから、その半額から7掛けくらいでまとまることが多い。
7掛けなら断られることはないが、それでも外人値段ではあるだろう。

 ワット・ハート・ヤイ・ナイも日本人から見れば、他と同じ普通の寺院である。
ボクたちには寝釈迦の違いなど判らない。
朝早いこともあって、まだ人が少ない。
寝釈迦の下にも入れる。
売店になっており、占いをやっているのだろうか、坊さんもいる。
有難い土産物を買えといっているらしいが、買いたいような物はない。

 朝の境内地をノンビリと散策していると、犬や猫がよってくる。
徐々に参詣客も増えてきた。
男女のカップルが、花や線香をあげたり仏様に金箔を貼っている。
広い中庭では、トクトクの運転手さんが、ノンビリと待ってくれる。
また市中まで運んでくれるのだ。
昨日はすでに閉まっていた時計台近くの市場まで送ってもらう。

 この市場はとても大きく、広い道路から奥の道路を越えて、3棟も連なっていた。
道路側は衣類など、真ん中は雑貨、一番奥は食品である。
手前の2棟は2階建てで、奥の建物とは道路をまたいだ通路でつながっている。
展示されている商品は、アジアならどこでも見るようなもので、これといった特徴はない。
ただイスラム系の人が多く、衣類にしても食事にしても、タイ風からは風合いがかなり離れている。

 奥へと進み、道路に出る。
ここからは食品売場である。
どのマネキンも表情がおかしい

アジアの臭いには慣れているつもりだが、この食品売場は凄まじい臭いである。
野菜を売っている周辺はともかくとして、肉や魚を売っている周辺は、下水の臭いと混じって立っているのも辛いくらいである。
他の市場ではこれほどの悪臭は感じなかったから、ここだけ問題だろう。
この街の人々はここで買っているのだろうから、この街で食事をするのは気が重くなった。

 熱い日差しの中を、屋台街へと南下する。
夕べは店が閉まっていたので、寂しい街だったが、昼間になると多くの人や車が走っている。
街を歩いているだけだが、この街はなにか棘があるような感じがする。
タイ人は優しいにもかかわらず、この街の人々の眼差しが優しくない。
バンコックのような大都会ですら、ゆるい感じがするのに、この街はギスギスしてキビシイ感じなのだ。
異教徒の住む国境が近い。
イスラムの影響だろうか。

 この食材はあの市場で買ったのだろうかと思いながら、昼ご飯を食べる。
今まで考えてもみなかったことだ。
あの市場を見てしまったので不安になる。
火が通っていれば、地元の人が食べていれば、まあ大丈夫だろうと納得させる。
食後もまたぶらぶらと歩く。
小さな街なので、取り立て行くところもない。
街中で盤上遊戯に興じる姿もない。
誰も遊んでいないテーブルが、道端に置かれているだけである。
仕方なしに駅へと向かう。

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