このホテル、4階建てと規模は大きいが、明らかに庶民的なホテルである。
交差点に面しているせいか、夜中も車の騒音でうるさかった。
ハート・ヤイとは違って、ホテルの人たちは優しい。
貧弱なメニューながら、ここは朝食付きだった。タイの田舎的なのんびりさである。
近所の寺院の前を通り、船着場に行く。
ここからはサムイ島やタオ島にいく船が出ている。
朝のうちなので、街はまだ静か。
静かさを破って爆竹の音が聞こえたかと思うと、白い衣装の一連隊がピックアップ・トラックなどに分乗して登場してきた。
何だろうと思っていると、巫女さんのような人が近所の人に祝福を与えている。
上半身裸の行者もいる。
祝福された人たちは、いくばくかのお金を手渡している。
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延々と続くトラックの列 |
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炸裂する爆竹 |
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頬の肉を貫通している鉄の棒 |
延々とトラックの列が続く。
荷台には黄色い幟をはためかせながら、白装束の若者たちが乗り込んでいる。
次々に爆竹が鳴り響く。
見るとオートバイの荷台には、爆竹の塊がごそっと積まれている。
それを取りだしてはライターで火を付けて投げる。
1メートルくらいの長さに連なった爆竹は、耳もつんざく音を立てながら、アスファルトの上で連続的にはじけていく。
幟には漢字が書かれている。
トラックのボンネットには赤い布がかかっている。
結婚式の流れかとも思ったが、それにしては人数が多すぎる。
どうやら中国系の人たちのお祭りらしい。
トラックの列を見送って、街の中心へと進むと、サムソンの店の前にも祭壇が作られている。
オレンジの帽子を配っている。ボクも手渡された。
祭壇は朱色の門構えに、黄色でラーメンの模様が描いてある。
文字はタイ語だから判らない。
サムソンの支店の開店祝いかとも思ったが、サムソンがお祭りに協賛しているのではないだろうか。
ここにも爆竹のカスが散らかっている。
行列が通ったのだろう。
当初の予定では、スラー・ターニーからバンコックへ戻る途中の街にも宿泊するつもりだった。
しかし、義母の容態が悪くなっているので、バンコックにいればすぐ帰国することもできるから、早めにバンコックへ戻ろうと思う。
ということで、スラー・ターニーからバンコックへ直帰することにする。
遅れに遅れた列車はもうやめて、バスにすることにする。
ここの長距離バスは超豪華で、30人くらいしか乗せないのでゆったりしている。
上手く寝ることができるか、いくらか不安はあったが、超豪華の夜行バスにした。
800バーツを出して、バスの切符を買った後で、さてホテルの予約である。
インターネット・カフェを見つけたので、バンコックでのホテルの予約を取る。
これで安心してスラー・ターニーを歩くことができる。
さっきの行列は、やはりお祭りだという。
上半身裸の行者が何人もいる。
彼らの何人かは矢を口から頬に刺して、痛々しくも頬の肉を貫通させている。
人によっては両頬に貫通させ、口の中で2本の矢を交叉してさえいる。
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こんな美しい行者もいる |
南国とはいえ、こんな痛そうなお祭りがあるのだろうか。
行者たちは恐ろしい顔つきで、人々の前に登場してインを切って祝福(?)を与えている。
我が国のナマハゲのようなものだろうか。
祝福された人は紙幣を差しだしている。
行者は受け取った紙幣を、矢の両側に刺して歩く。
いささか息がつまるようなシーンで、お祭りの狂気を見る思いがする。
行者なら誰もが頬に穴を開けているわけではない。
矢を貫通させた行者たちは異様な男たちだ。
頬に矢を通すのは、意気のあらわれなのだろうか。
お祭りの中心になっているお寺まで行ってみる。
やはり中国系のお寺で、広い中庭には同じような雰囲気の人たちが、せわしなく動いている。
やや新興宗教的な雰囲気さえあって、立ち入りを制限してい訳ではないが、余人を寄せ付けない感じがする。
図々しく中庭へと入って、本堂の前まですすむ。
ここでも盛大に爆竹が鳴らされる。
そこへトラックの一連体が帰ってきた。
ますます爆竹が盛大になる。
しばらく見て、市中に戻る。
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