タイ南部への旅行記
2013.12.−記
第1日目 ソイ33通り ホテルがない いい食堂を発見
第2日目 単独行の買春男性 盤上遊戯を発見 ドンムアンへ ハート・ヤイへ
第3日目 厳しいハート・ヤイ 大遅延の列車
第4日目 スラー・ターニー 猿の椰子の実取り 豪華深夜バス
第5日目 マンダリン 見えない盤上遊戯 見えたチンチロリン
第6日目 カンチャナブリー 戦場にかける橋 バスのスピード競争
第7日目 バンコックの王宮 盤上遊戯を発見 最後が失敗
第8日目 別離の朝 雨中居のトップに戻る


第4日目−1  スラー・ターニー

 このホテル、4階建てと規模は大きいが、明らかに庶民的なホテルである。
交差点に面しているせいか、夜中も車の騒音でうるさかった。
ハート・ヤイとは違って、ホテルの人たちは優しい。
貧弱なメニューながら、ここは朝食付きだった。タイの田舎的なのんびりさである。

 近所の寺院の前を通り、船着場に行く。
ここからはサムイ島やタオ島にいく船が出ている。
朝のうちなので、街はまだ静か。
静かさを破って爆竹の音が聞こえたかと思うと、白い衣装の一連隊がピックアップ・トラックなどに分乗して登場してきた。
何だろうと思っていると、巫女さんのような人が近所の人に祝福を与えている。
上半身裸の行者もいる。
祝福された人たちは、いくばくかのお金を手渡している。
延々と続くトラックの列
炸裂する爆竹
頬の肉を貫通している鉄の棒


 延々とトラックの列が続く。
荷台には黄色い幟をはためかせながら、白装束の若者たちが乗り込んでいる。
次々に爆竹が鳴り響く。
見るとオートバイの荷台には、爆竹の塊がごそっと積まれている。
それを取りだしてはライターで火を付けて投げる。
1メートルくらいの長さに連なった爆竹は、耳もつんざく音を立てながら、アスファルトの上で連続的にはじけていく。

 幟には漢字が書かれている。
トラックのボンネットには赤い布がかかっている。
結婚式の流れかとも思ったが、それにしては人数が多すぎる。
どうやら中国系の人たちのお祭りらしい。
トラックの列を見送って、街の中心へと進むと、サムソンの店の前にも祭壇が作られている。
オレンジの帽子を配っている。ボクも手渡された。

 祭壇は朱色の門構えに、黄色でラーメンの模様が描いてある。
文字はタイ語だから判らない。
サムソンの支店の開店祝いかとも思ったが、サムソンがお祭りに協賛しているのではないだろうか。
ここにも爆竹のカスが散らかっている。
行列が通ったのだろう。

 当初の予定では、スラー・ターニーからバンコックへ戻る途中の街にも宿泊するつもりだった。
しかし、義母の容態が悪くなっているので、バンコックにいればすぐ帰国することもできるから、早めにバンコックへ戻ろうと思う。
ということで、スラー・ターニーからバンコックへ直帰することにする。
遅れに遅れた列車はもうやめて、バスにすることにする。

 ここの長距離バスは超豪華で、30人くらいしか乗せないのでゆったりしている。
上手く寝ることができるか、いくらか不安はあったが、超豪華の夜行バスにした。
800バーツを出して、バスの切符を買った後で、さてホテルの予約である。
インターネット・カフェを見つけたので、バンコックでのホテルの予約を取る。
これで安心してスラー・ターニーを歩くことができる。

 さっきの行列は、やはりお祭りだという。
上半身裸の行者が何人もいる。
彼らの何人かは矢を口から頬に刺して、痛々しくも頬の肉を貫通させている。
人によっては両頬に貫通させ、口の中で2本の矢を交叉してさえいる。

こんな美しい行者もいる

南国とはいえ、こんな痛そうなお祭りがあるのだろうか。
行者たちは恐ろしい顔つきで、人々の前に登場してインを切って祝福(?)を与えている。
我が国のナマハゲのようなものだろうか。


 祝福された人は紙幣を差しだしている。
行者は受け取った紙幣を、矢の両側に刺して歩く。
いささか息がつまるようなシーンで、お祭りの狂気を見る思いがする。
行者なら誰もが頬に穴を開けているわけではない。
矢を貫通させた行者たちは異様な男たちだ。
頬に矢を通すのは、意気のあらわれなのだろうか。

 お祭りの中心になっているお寺まで行ってみる。
やはり中国系のお寺で、広い中庭には同じような雰囲気の人たちが、せわしなく動いている。
やや新興宗教的な雰囲気さえあって、立ち入りを制限してい訳ではないが、余人を寄せ付けない感じがする。
図々しく中庭へと入って、本堂の前まですすむ。
ここでも盛大に爆竹が鳴らされる。
そこへトラックの一連体が帰ってきた。
ますます爆竹が盛大になる。
しばらく見て、市中に戻る。

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