タイ南部への旅行記
2013.12.−記
第1日目 ソイ33通り ホテルがない いい食堂を発見
第2日目 単独行の買春男性 盤上遊戯を発見 ドンムアンへ ハート・ヤイへ
第3日目 厳しいハート・ヤイ 大遅延の列車
第4日目 スラー・ターニー 猿の椰子の実取り 豪華深夜バス
第5日目 マンダリン 見えない盤上遊戯 見えたチンチロリン
第6日目 カンチャナブリー 戦場にかける橋 バスのスピード競争
第7日目 バンコックの王宮 盤上遊戯を発見 最後が失敗
第8日目 別離の朝 雨中居のトップに戻る


第1日目−2  ホテルがない

 ソイ33通りを500メートルくらい歩いた。
目の前にある立派なロータス・スクムヴィット・ホテルのドアボーイに聞くと、コンパクト・スクムヴィット・ホテルはすぐ先の左だという。
ほんとうに近いよ、といった感じ。
安心して歩き始める。
しかし、見当たらない。
それらしきホテルがない。
歩き続けると、やがて繁華街が切れて静かな住宅地になった。
そして、T字路にでて突きあたってしまった。
ソイ33通りはここで終わりである。
予約したホテルが見つからない。
どこで見落としたのだろう。

ソイ33通り
コンパクト・スクムヴィット・ホテル
怪しげな日本語の看板


 仕方なく来た道を引き返すが、それらしき建物はない。
あれだろうか、と高い建物を見あげる。
近所のお店で聞くが、コンパクト・スクムヴィット・ホテルはどこか? というボクの質問にに首をかしげる。
知らないという。
えー!!! 
地元の人が知らない。
ボクは沈黙してしまった。
その時である。
滑らかな日本語で、アッそこを入った左だという声がする。
その店の客の中に、日本人の男性がいた。
近所の料理店で働いているのだとか。

 彼の教えに従って、駐車場のような坂を登る。
コの字型に中庭を取り囲む大きな建物である。
マンションかと思って通りすぎてしまっていた。
ニャンニャン マッサージという怪しげな日本語の看板を見ながら、中庭をなお奥に進む。
左手奥に、やっとコンパクト・スクムヴィット・ホテルを発見した。

 薄暗くなって日が暮れる頃、なんとかホテルに到着した。
あたりの雰囲気からボロいホテルを想像していたが、予想に反して清潔そうなホテルで一安心。
と思って、ガラスのドアを押した。
暗い。
やっと着いたというのに、フロントがボンヤリとしか見えない。
薄暗いロビーに、暗澹たる気持ち。
ドッと落ちこんだ。

 フロントのカウンターにはロウソクが置いてある。
停電だった。
さっきの雨で停電となったのだろう。
フロントに座っている女性は、停電に驚いた様子もない。
にこやかな笑顔で迎えてくれる。
ロウソクの灯りでチェックイン。
ここにサインしろと紙を示されるが、暗くて読めない。
非常用照明の下へと移動して、やっと判読できた。
フロントの彼女は笑っている。

 わずかに非常照明のともる廊下を、荷物を背負って部屋に向かう。
屋の扉を開けると薄暗い。
部屋の真ん中に大きなベッドがある。
広さは充分だが窓がない。
またドドッと落ちこんでしまった。
何しろ、扉を閉じると真っ暗なのだ。
握ると充電されて電気のつく懐中電灯が枕元にある。
ここはラブホテルではないか、と疑いたくなった。
しかし、他に行く当てもない。
落ちこんでいても始まらないので、夕食を食べに表へとでることにする。

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