ターピーホテルには確かに1階にレストランがあった。
しかし、フロントの女性たちに、ここのレストランは美味い南部料理かと聞くと、そんなことはないと否定的な返事。
レストランを見ても活気がない。
南部料理を出す店はないのかと聞く。
フロントの女性との話に、地元の中年男性が割り込んできた。
観光客なら、屋台街へ行くべきだ。
たくさんの人がでて、食べ物屋さんもある。
今そこから来たばかりだと、彼は言う。
フロントの女性たちも賛同する。
それでは、屋台街へといく。
あたりも暗くなってきて、街にも灯りがともり始めた。
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夜店で売られているニギリ鮨 |
屋台街の入り口に着くと、ほんとうに大勢の人である。
道の両側にビッシリと夜店が並んでいる。
人の通る道は、幅2メートルもない。
そこを揉みくちゃになりながら、多くの人が行き交う。
市場の屋台版である。
食べ物屋もあるが、夕食という感じではなく、買い食いを楽しむといったところだ。
屋台の裏では、食べている人もいる。
人混みを歩いたが、結局、何も食べずにバスターミナルへと向かうことにした。
トクトクで10分くらい走っただろうか。
新しいバス・ターミナルに着くと、韓国人から切符を買ってくれないかと言われる。
予定が変わってバスに乗らなくなったので、切符があまっているのだという。
こちらはすでに切符を買っていると告げると、残念そうな顔をして次の人を探し始めた。
海外で不要になった切符を、何とか金に換えようとするガッツは見上げたものだ。
バスの中で飲もうと、俗に言うメコン・ウィスキーを買う。
これはウィスキーではなくラムだ。
40度と書いてあるが、そんなにきつくはない。
暑い中で、やや甘い刺激が心地良い。
麺を食べる。
そこで電池を充電させてくれと頼むと、いとも気軽にコンセントを指さしてOKのサイン。
バスの発車までノンビリする。
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タイでは必ず買うメコン・ウィスキー |
入線したバスは2階建ての超豪華仕様である。
主な客席は2階で、片側2列、1列の3列しかない。
そのため、とてもゆったりしている。
バンコックでも女装のお兄さんと何人もすれ違ったが、このバスのガイドさんが女装のお兄さんだった。
ガッチリした男性的な身体は、特別に女性風のシナを作るわけでもなく、淡々と仕事をこなしているだけ。
サンドイッチと飲み物を配っている。
真っ暗な中をバスは、バンコックへと出発した。
超豪華バスは深夜の高速道路をバンコックへとひた走る。
車内にトイレもあるので、途中の停車はない。
寝台列車と比べて、確かに静かだし、サービスも良い。
シートはリクライニングもする。
良い勝負をしている。
しかし、いくらリクライニングしても、完全に水平になるわけではない。
そのため、水平なベッドを提供する寝台車に比べると、睡眠と言うことにかけては勝てないように思う。
タイの列車は車両も古く、保線も良くない。
今回のように遅れるとしたら、列車への信頼性は損なわれていくだろう。
高速バスには何社も参入しており、いまでも競争が激しい。
快適な睡眠に関しても、今後ますます工夫されていくだろう。
列車の改良には大きな資本が必要だが、民間のバスの進化には列車ほどの資本は必要ない。
とすると、超豪華高速バスのほうに、将来性があるのではないだろうか。
といった思いをのせて、超豪華バスは朝ぼらけのバンコック北バスターミナルに到着した。
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