初老人たちの台中旅行
2011.3.23−記
第1日目 台北に到着 台中に到着
第2日目 鹿港へ遊ぶ 鹿港の市内探検
第3日目 建国市場から市内へ
第4日目 台鐵で台北へ 雨中居のトップに戻る


第2日目−1   鹿港へ遊ぶ
 
 このホテルに予約を入れたときには、朝食抜きのはずだった。
しかし、着いてみると、朝食付きだという。
それじゃあということで、最初の朝だけホテルで朝食をとることになった。
バイキング・スタイルで食べ放題。
トーストからお粥まで、おなじみの食べ物が並んでいる。
ふつうの味だが、はや、朝のコーヒーが懐かしい。

 今日は鹿港(ルーガン)という街に行く。
ここだけが観光の予定に入っていたのだ。
鹿港まではバスで1時間くらい離れている。
フロントでバス乗り場を聞くと、ホテルの前を右に歩いて2〜3分のところだという。
地図をくれといっても、そんなものは必要ないくらいに近いという。
そうかと、半信半疑で歩き出す。
バスの発着所は確かに近かった。
鹿港行きのバスも直ぐきた。
呼び込みのオジサンが、切符は中で買えという。

天后宮の前
中庭で拝む人
本殿を見る

 大型バスは我々5人で貸し切り状態。
こんなに空いていて採算が合うのだろうかと、余計な心配をするうちにバスは発車した。
バスが発車するとすぐ左に建国市場が見えた。
是非この市場に行きたいと、仲間の1人が言う。
全員文句なしに賛成である。
台中駅前を通過。
台中駅とホテルは極めて近いと、はじめて判った。

 我々の乗ったのは路線バスらしく、街の中を走っては停まる。
町中を一巡すると、やがて新幹線の台中駅が見えてきた。
台中駅を出ても、街道筋のバス停に停まりながら、お客を乗せたり下ろしたりして、ゆっくりと鹿港に向かって進んでいった。

 台中を出発してから、すでに1時間半かかっている。
やっと鹿港らしき街に入った。
おそらくバスの終点は、街の中心にあるバスターミナルだろう。
だから終点まで乗っていれば良い、と考えていた。
しかし、バスは繁華街を出て、また郊外に向かっている。
困ったなーと思っていると、バス・ターミナルらしき場所に停まって、終点だという。

 降りたところはただの広場で、バスが何台か止まっていた。
運転手をつかまえて、地図をだして、ここに行きたいのだという。
すると、市内循環バスが運行されているので、それに乗れという。
そう言いながら、市内地図と<鹿港小鎮>という観光パンフレットを手渡してくれ、近くに停まっているマイクロ・バスを指さす。

 バスの料金を聞くと、無料だという。
何という街だ! たまげてしまった。
もちろん頭をペコペコと下げたことは言うまでもない。
ついでにトイレを借りたら、日本の工事現場にあるプレハブ・トイレだった。
でもこれは女性用で、男性用は暖簾の向こうに、朝顔が壁に張りついていた。

 市内循環のマイクロ・バスは、1時間に1本の間隔で運転されているらしい。
我々は最初に2番の停留所で降りた。
バス停の脇には、産直のような八百屋が店開きしている。
市内に向かう道の両側に、物売りの屋台が並んでいる。
こちらにおいでおいでと迎えているようだ。
屋台のあいだを、ずるずると市内に向かう。

 鹿港は古くからの港町だから、海産物が美味しいと日本のテレビで聞いてきた。
牡蛎が有名で、カラスミも安いらしい。
期待が高まる。
目的の寺院につくと、門前に揚げた小エビを売る屋台が並んでいる。
ちょっと試食をと手を伸ばす。
試食禁止らしく、窘められてしまったけど、もう口に入れてしまった。
同行の仲間は、早くも買い食いをしている。
ボクもご相伴になる。

本殿の右脇室

 天后宮というお寺で、1600年代の創建だという。
今日は物日なのだろうか。
大勢の人が集まってくる。
とりあえず山門をくぐる。
小さな浅草といった感じ。
浅草寺をぎゅっと凝縮した中庭には、中央に線香炉がしつらえてあり、ゆっくりと煙が立ち上っている。
こちらの線香は長い。
日本の線香の3倍くらいある。
線香を頭に押しあてて願いごとをし、善男善女が何度も頭を下げる。
どこでもおなじみの風景である。

 中庭の奥には、本堂らしき建物がある。
このお寺は、日の字のような平面になっている。
山門を入って、中庭で拝んだあと中門を潜り、一段高くなった本堂への階段を上るようになっている。
本堂の前にも小さな中庭があり、池が造られて亀がいた。
もちろん池には小銭を投げ入れた。

ナスを二つに割ったような道具を床に投げる

 我々は右側の階段を上った。
小振りな本堂だが、内部は細かい細工でぎっちりと埋め尽くされている。
線香の煙でいぶされて、天井廻りは真っ黒。
信者たちの長年の信仰を感じる。
中央の祭壇には仏様が安置されている。
その前で高校生くらいの女の子が、何度も何度も運勢を試している。

 ちょうどナスを二つに割ったような道具を床に投げるのだ。
カランと音がして床にころがる。
床上の形で運勢を占うらしい。
彼女は何度も繰りかえして、必死に祈っていた。
この道具は中庭においてあり、だれでも自由に使えるらしい。
ボクもやってみたかったが、形の読み方が判らない。
そこで彼女の写真を撮ることに専念した。

 右側には位牌堂のような造りの部屋があり、内部には仏様が隙間なく安置されている。
壁から天井と赤や黄色の極彩色で、なかなか良い雰囲気なのだ。
しばらく見とれてしまう。
我が国の寺院の装飾はあっさりしているが、こちらでは実に手が込んでいる。
細かい細工が至るところに施され、先人たちの天上への熱意が横溢している。

 本尊の左側には寺院ショップがあり、土産物を売っている。
その前には階段があって、本堂の前のベランダと中庭をぐるぐる回れるようになっている。
狛犬などの石彫も素晴らしく、小さなお寺だが充実した内部空間で、参詣者が絶えないのも納得である。

 しばらくするとトランペットや太鼓の音楽隊が動き始めた。
足元で爆竹がなる。
山門の下にいた赤鬼と青鬼が動き始めた。
人の背丈の倍くらいはあろうという鬼たちで、中に人が入って動かすのだ。
左右の手をブラブラさせて身体を捻り、山門の前でデモンストレーションのあと、街へとくりだしていった。
その間に何度も爆竹がなり、にぎやかな雰囲気である。

 今度は別の隊列が寺院に入ってくる。
音楽隊をひきつれた赤鬼・青鬼が、手を揺すりながら行進してくる。
おそらく街には何組かの鬼たちがいるのだろう。
相当に重いらしく、途中で中の人が交代した。
しばらく見とれていたが、爆竹に追い立てられるように、寺院を後にした。
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