今日はもう帰国である。
台北から台中へ来たたのは新幹線だったから、帰りは在来線に乗ることにした。
帰りの飛行機は4時発である。
それに間に合うように、台北へ戻りたい。
在来線は台北が終点ではない。
その先に松山という駅がある。
そこが松山飛行場に隣接しているに違いない、と思ったのが大間違いだった。
この話は、松山に着いてからにしよう。
10時20分の列車に乗れば、1時には松山に着く。
ということで、急行<?光号>に乗ることにした。
台中駅までは歩いても15分も見れば良い。
いままで朝食時に集合だったが、今日は9時集合にして、それまで自由時間にした。
もう一度、建国市場に行っても良いし、散歩しても良い。
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早朝の台中駅前の路地裏 |
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ボクは早朝の街を散歩した。
台中駅やバスの発着所など、駅の付近には安宿など、いかにも風景が広がっている。
8時前とあって、あたりはまだ起きだしてはいない。
ほとんどの店がシャッターを閉めたままだ。
安宿では寝ぼけ眼の人がウロウロしている。
休憩200元・宿泊400元とあるが、日本のラブホテルとは違うだろう。
それとも、街のお姉さんとしけ込む宿なのだろうか。
朝早いので判らない。
台湾の麺を食べてみようと、屋台で声をかけたが、売り子が出てこなかった。
仕方なしに他をあたる。
でも、なぜか商売熱心ではなく、どこも売り子がいないのだ。
朝早いといっても、すでに8時は過ぎている。
のんびりしているのだろう。
建国市場に買い物に出ていた仲間と出会う。
彼はシナチクを買ってきた。
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台中駅前 |
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台中駅のホーム |
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9時にホテルのロビーに集合。
仲間の1人が夕べ食べ過ぎて、胃の調子が悪いと元気がない。
ホテルの精算を済ませて、荷物を引きずりながら、台中駅へと向かう。
140元で切符を買う。
新幹線が700元だったから、だいぶ安い。
5人が纏まって座れはしなかったが、座席には充分に余裕があるようだった。
まだ1時間近くある。
各自気楽に付近に探検にでた。
こういう時には大勢だと楽だ。
誰かが荷物の番をして、交代で探検にでることができる。
ボクはキオスクで面白い絵はがきを見つけた。
列車内で書いて、台北で投函しようと思う。
切手はどこだとウロウロ。
案内所の人にきくと、駅前のセブン・イレブンまで案内してくれた。
何と親切なことと感謝していると、セブン・イレブンには国外への切手はおいてないとのこと。
今度はセブン・イレブンの人が、道路の向こうにある郵便局まで、連れて行ってくれようとするではないか。
親切さに感謝・感謝である。
そう言えば、仲間の1人が台中人の親切さに感激していたっけ。
彼女が買い物をしに、とある店に入った。
しかし、店の人は英語が話せない。
すると隣の店から英語の話せる人がきて、長々と相手をしてくれたというのだ。
その人の利益にならないのに、本当に親切だったと言っていたのを思いだした。
最初のタクシーではヒヤッとしたが、台中の人はとても親切だった。
列車を待っていると、仲間の1人が中年の女性と親しくなった。
いろいろと話をしている。
列車にのると、彼女はお菓子を我々全員に持ってきてくれた。
恐縮するコトしきり。
車内販売がくる。
弁当を買った。
ぶつ切りの鶏肉に、ご飯である。味が良くしみて、なかなかに美味い。
5人の中で最も酒に目がないのは女性約1名。
その次がボク。
残りの女性2人は馬鹿飲みはしないで、よく程度をわきまえている。
そのうえ1人は、夕べ食べ過ぎて元気がない。
もう1人の男性はまったく飲まない。
ということで、全国大飯店から持ってきた紹興酒をチビチビやるのは男女約2名である。
どうしょうもない初老人2人である。
この路線には、我々の乗った<?光号>以外に、もう1本急行列車が走っている。
それは<自強号>といって、より速い急行列車である。
そのため、途中で<?光号>を追い抜いていくのだ。
停車駅ではホームに降りてみる。デッキからホームへ降りる扉は、2つ折りの手動である。
列車が走り出しても、飛び乗ることができる。
<自強号>がさっと通過した後、車内に戻る。
急ぐ旅ではないので、ダイヤどおりに着いてくれれば、何も言うことはない。
車中で葉書を書いたり、お酒を飲んだりと、残り少なくなった台湾旅行を楽しんでいる。
定刻に台北到着。
ここでほぼ全員下車した。
我々は次の松山まで行く。
台北から松山まで10分くらいだったろうか。
定刻着は良かったのだが、飛行場への案内が見えない。
ばかにシーンとした駅である。
来たときはこんなに静かではなかったのに、変だなと思いながら案内所の女性にきく。
すると、外へ出てタクシーかバスでいけという。
到着時のイメージがあるので、松山駅と松山飛行場は隣接している、と我々は信じて疑わない。
バスね、シャトル・バスがあるのだろう、くらいに思って表に出る。
タクシーなど無視してバス停を捜す。
駅前には工事中の建物があり、人通りが少ない。
バス停を聞くと、一筋表側の道路にあるという。
工事中の建物の向こうに、大通りが見える。
荷物を引きずって移動する。
しかし、それらしい場所がない。
町の人に飛行場行きのバス停を聞くが、知らないという返事。
若い人に聞くと、彼等は何人もで相談してくれたが、知らないという返事。
えー! 地元なのに何で知らないの。
松山駅って松山空港とは違うの!?
ちょっと慌てた。
飛行機の時間があるから、仕方なしにタクシーに乗る。
幸いに定員6人のタクシーが来た。
3列目のシートを起こし、全員がタクシーに乗り込む。
やれやれと思ったが、なかなか飛行場らしき風景が見えてこない。
飛行機の時間が気になる。
やっと飛行場の入り口が見えた。
現在の松山空港は、軍と共用になっているらしい。
日本に帰って調べてみると、松山駅と松山飛機場駅とは1.5キロほど離れていた。
かつては両駅を松山飛機場線という支線があったが、1976年に廃止になったのだとか。
おそらく地下鉄で市内と結ばれたからだろう。
ボクは地下鉄と在来鉄道を混同していたので、松山駅と松山飛機場駅が同じものだと勘違いしていたのだ。
それにしても、地元の人が飛行場行きのバス停を知らないとはビックリ。
2時過ぎには、無事、松山空港に到着。4時の離陸には充分に時間がある。
一同、安堵の胸をなで下ろす。
タクシーを降りても、飛行場内で歩く距離が短い。
こういう時には小さな飛行場はありがたい。
なにせ1階の入り口から、チェックイン・カウンターが見えるくらいなのだ。
すでにチェックインが始まっているが、その横で残った果物の整理をする。
つまり、日本に持ち帰れないメロンを、みんなで食べ始めた。
ポストを捜すが、飛行場内にはない。
外へ出て地下の郵便局まで行けという。
大きな飛行場ならポストは構内にあるはずだが、小さな飛行場だから、こんなことも許されるのだろう。
確かに近い。
外のエスカレーターを降りたら、そこに郵便局があった。
切手の値段を確認して、ポストに投函した。
そして、荷物をパッキングし直して、チェックイン。
松山空港は小さいくせに進んでいる。
チェックインはパスポートを機械にかざすだけなのだ。
すると、4人分の搭乗券が次々に出てくる。
ずらっと並ぶ必要はない。
搭乗手続きが連続でできるのは4人までで、5人目は次の手続きになるので座席が離れた。
しかし、とても便利だから、この機械は日本でもぜひ導入して欲しい。
チェックインが終わると、その場で荷物をあずけて搭乗手続きは、アッという間に完了した。
2階へとエスカレーターで上り、出国手続きをする。
これで台湾ともお別れである。
街中で買い損なったカラスミを買って、残った台湾通貨を日本円に戻した。
残った小銭で、コーヒーを飲み、集合写真を撮った。
定刻4時に飛び立ったエバー航空のBR190便は、7時50分に羽田に到着した。
−了−
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