S:111 |
警察の事務所室 |
|
|
|
老刑事 |
これですか、問題のCDというのは。 |
大野陽子 |
こんなものを持っていると、どうなるかわからないから。 |
林 哲也 |
もうシステムを壊したから、これがあっても何の役にも立たないんだよ。 |
大野陽子 |
えっ! もういらないの。何だったの、いったいあれは? |
老刑事 |
コンピューターのことは、私にも、よくわからんのですが、実はこの事件は、うちでも追っかけていたんです。
○○コーポレーションなんて看板をあげてますが、○○組という暴力団なんですよ。 |
大野陽子 |
そうですか。 |
老刑事 |
しかし、我々のほうでは、轢き逃げと○○組がつながらなかったんですよ。轢き逃げのガイシャが、新顔だったんで、○○組の組員と押さえてなかったんですよ。
大野さんが、警察にきて下さったんで、わかったんです。 |
大野陽子 |
それで、○○組のほうはどうなったんですか。 |
老刑事 |
○○組を強制捜査して、捜査を開始していますから、もうすぐ落着しま すよ。
それと、こいつが焼死したんですよ。 |
|
|
|
老刑事、小松原章の写真を見せる。 |
|
|
林 哲也 |
こいつは、あのときの。 |
老刑事 |
内部抗争だと思いますがね。 |
林 哲也 |
そうか、それじゃ。もう追っかけてくる奴は、いなくなったわけだ。 |
大野陽子 |
でも、この男ともう1人若い男がいたでしょ。切りつけてきた…。 |
老刑事 |
(写真を見せながら)こいつですか? |
大野陽子 |
そう、この男だったわ。 |
老刑事 |
こいつは大丈夫ですよ。小松原が死んだので、下っ端だけじゃ動きませ んよ。
それに、いまうちの別荘にいますから。 |
|
|
|
S:112 |
留置場の中、西川良太はコンピューターの本を読んでいる。 |
|
|
西川良太 |
(独白)今度は、もっとうまくやるさ。 |
|
|
|
西川良太は、カメラに向かって、にやっとわらう。 |
|
|
S:113 |
警察の事務所室、S−110の続き |
|
|
交通課の警官 |
ところで、人と接触したときは、些細なことでも、今後は、警察へ届け て下さい。 |
|
|
|
大野陽子、平身低頭する。 |
|
|
大野陽子 |
はい、わかりました。 |
交通課の警官 |
でも、よかった。無事で。 |
林 哲也 |
はあー。 |
|
|
S:114 |
警察の正面玄関外。林 哲也と、大野陽子 |
|
|
大野陽子 |
でも、まだ信じられないわ。森さんが人を殺すなんて。 |
林 哲也 |
人は変わるんですよ。 |
大野陽子 |
気の小さな人だったのよ。 |
|
林 哲也 |
うん、よかったですね。もう追いかけられなくて。 |
大野陽子 |
ほんと、考えさせられたわ。 |
林 哲也 |
やれやれ。…ところで、また5万円かしてくれる。 |
大野陽子 |
いやもう、お金を貸すのは止めたわ。 だって、お金を貸したせいで、今度の事件がおきたんだから。
親切のつもりでも、お金は恐いわ。 |
林 哲也 |
えっ。そりゃこまるな。 |
大野陽子 |
でもいいのよ。お金を貸してはあげないけれど、私が林くんを買ってあ げるわ。
ゆうべはよかったわ。 |
|
|
|
大野陽子は、林哲也に寄り添う。 |
|
|
林 哲也 |
えっ、それって…。 |
大野陽子 |
林くんの活躍に感激したわ。 |
|
|
|
林哲也と大野陽子は、抱き合う。大野陽子が片足をはね上げると、靴が飛ぶ。 |
|
|
S:115 |
抱き合う林哲也と大野陽子のS−114が、CRTに映っている。
画面の隅で、誰かの足が、パソコンの電源コードを引っかけて、電源を切る。
突然、スクリーンが消えて、エンディング。 |
|
|
|
END |