S:106 |
翌朝、出勤途上の駅前。昨日追いかけっこをやった場所にて、 |
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林 哲也 |
今日は何もないいといいね。 |
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森光太郎が近づいてくる。 |
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大野陽子 |
あなたは! 森さん。 |
森光太郎 |
轢き逃げ殺人だ、来て貰おう。 |
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林哲也は、大野陽子をかばう |
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林 哲也 |
何をいうんだ、陽子さんは殺人なんかしていない。 |
森光太郎 |
どきな。俺は見ていたんだ。こい。 |
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林哲也と大野陽子は逃げ出す。 |
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林 哲也 |
毎日これじゃたまらないよ。 |
大野陽子 |
わかった。電話の声は、森さんだったんだ。 |
林 哲也 |
森って誰だ? |
大野陽子 |
昔、お金を貸したことがあったのよ、でもなかなか返してくれなくて。
返してくれたと思ったら、いなくなっちゃったのよ。 |
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S:107 |
林哲也と大野陽子は、駅前広場から陸橋へ軽快に走る。追う森光太郎は、走るのは鈍い。だんだん離れる。 |
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S:108 |
喫茶店にて、 |
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林 哲也 |
これでわかった。陽子さんが接触した後、あいつが殺したんだ。 |
大野陽子 |
でもなぜ? |
林 哲也 |
恨みかな。借金を返すとき、大野さんに馬鹿にされたと勘違いして |
大野陽子 |
私は馬鹿になんてしてないわよ。 |
林 哲也 |
でも、あいつは馬鹿にされたと思ったんじゃないかな。それを根に持ったんだよ、きっと。 |
大野陽子 |
…。 |
林 哲也 |
悔しくて、いつか復讐してやると、機会をねらっていた。そしたら、大 野さんが車で男と接触したから、そいつを殺して、罪を大野さんにかぶせようとしたんだ。 |
大野陽子 |
そんな!
信じて、私は誰も馬鹿になんてしてないわよ。 |
林 哲也 |
信じるさ。僕も借りてる人間の1人だからね。陽子さんは、有り難い存在さ。僕にとっては、ニコニコ大野銀行、お助け銀行さ。 |
大野陽子 |
でも、他にもCDをねらう2人組もいるし、困ったな。 |
林 哲也 |
こりゃまた、来るな。こうなったらもう警察だ。
警察へ自首していこう。 |
大野陽子 |
自首だなんて…。殺していないのよ。 |
林 哲也 |
だから警察へいくんだよ。 |
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S:109 |
大野陽子のアパートの近く。大野陽子が1人で歩いている。 |
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森光太郎 |
やっと会えたな。 |
大野陽子 |
森さん。私は馬鹿になんてしてないわよ。 |
森光太郎 |
うるさい。くるんだ。 |
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刑事が数人だっと飛び出す。 |
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刑事 |
森光太郎。殺人容疑で逮捕する。 |
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森光太郎 |
うー。 |
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森光太郎は、刑事におどりかかる。森光太郎は刑事を投げ飛ばし、振り切って逃げようとする。
林哲也は、うろうろするのみ。 |
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刑事 |
止まれ、とまらんと撃つぞ。 |
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森光太郎は、陸橋のほうへ逃げ、止まらない。刑事は発砲する。
森光太郎の足にあたり、よろめく。陸橋から落ちる。 |
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S:110 |
林哲也と大野陽子は、あわてて落ちた場所へ駆け寄り、下をみる。下を列 車が走っていき、見えないが、死を暗示させる。 |
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