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夜。大野陽子の自宅。ジャックダニエルをはさんで、グラス二つ。 |
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大野陽子 |
また、電話があったのよ。 |
林 哲也 |
誰から? |
大野陽子 |
きまっているでしょ。あいつよ。 |
林 哲也 |
あいつっていわれても…。 |
大野陽子 |
私の轢き逃げを見たって奴よ。あいつは、私がひき殺したっていうのよ。私が、ひき殺したところを見たっていうのよ。 |
林 哲也 |
でも、大野さんが接触した男は、元気だったんでしょう。
大野さんが、殺したんじゃないですよ。 |
大野陽子 |
あの時、死んだんじゃないわ。でも、何で死んだのかな?
やっぱり、あの事故がもとで死んだのかな? |
林 哲也 |
そういう可能性もなくはないけど。 |
大野陽子 |
えー! ちょっとへんなこといわないでよ。でも、そうすると、私が、殺人犯ということになるのかな?
私は、人 なんか殺してないわよ。 |
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S:75 |
大野陽子の自宅。大野陽子は、林哲也のとなりに眠る。ずれたバスローブから大野陽子の太股が見える。林哲也は、悶々たる感情を押さえている。 |
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S:76 |
翌朝、大野陽子の部屋に朝日が差し込む。2人が、目がさめる。 |
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S:77 |
大野陽子のアパートから、林哲也と大野陽子がでてくる。そこへ、小松原章と、西川良太があらわれる。 |
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小松原章 |
おはよう。 |
林 哲也 |
誰だ、おまえは! |
小松原章 |
潤一郎からかっさらったものを、こちらに返して貰いましょうか。そちらがが持っていても、役にたつものではありませんからね。 |
林 哲也 |
なに、いってんだ。とんでもないもの作りやがって。銀行の金がひきだせたら… |
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小松原章 |
知ってしまったようですね。 |
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林 哲也 |
うっ…。 |
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小松原章 |
賢いお兄さんだね。 |
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林 哲也 |
あのくらいのシステムは、俺だって簡単に判るんだぜ。 |
西川良太 |
簡単に判ったら、簡単に死んでもろうか。 |
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西川良太が、切りかかる。林哲也と大野陽子が逃げ回る。 |
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S:78 |
林哲也と大野陽子が、息も絶え絶えに逃げてくる。 |
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大野陽子 |
なんなのよ、あいつらは。 |
林 哲也 |
これですよ。これ。これをねらっているんですよ。 |
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林哲也は、カバンからCDを出す。 |
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大野陽子 |
なに、それ? |
林 哲也 |
だからいったでしょ。銀行からお金を引き出すプログラムですよ。 |
大野陽子 |
どうやって? |
林 哲也 |
とにかく、これで、お金が作れるんですよ。 |
大野陽子 |
わたしにも、つくれる? |
林 哲也 |
なにをいっているんですか。 |
大野陽子 |
返せばよかったかな。 |
林 哲也 |
返すだけじゃ、すまなかったでしょう。 |
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S:79 |
駅ビルのなか、小松原章と、西川良太が追いかけてくる。 |
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林 哲也 |
きたきた。 |
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大野陽子 |
ひゃー! |
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林 哲也 |
早く早く。 |
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大野陽子 |
靴が脱げたわ。 |
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林 哲也 |
靴が脱げた? それで死ぬわけじゃない。早く逃げて。 |
大野陽子 |
あの靴は、一番気にいっていたのよ。 |
林 哲也 |
よし、ここに隠れよう。
遅刻だな、課長になんていおうか。 |
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林 哲也は、携帯をとりだすが、かけない。 |
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S:80 |
衝立の後ろに、林 哲也と、大野陽子が隠れている。そこから脱ぎ捨てた靴 が見えている。しかし、小松原章と西川良太がうろついている。 |
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S:81 |
林哲也と、大野陽子が隠れている場所から、靴を指さして。 |
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大野陽子 |
靴よ、靴。 |
林 哲也 |
どうぞ、あそこにありますから。取ってきてもいいですよ。 |
大野陽子 |
取れるわけないでしょ、あいつらがいるんだから。何いっているのよ、林くん。 |
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林 哲也、棒切れで靴を取る |
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大野陽子 |
やった。すごい、林くん。 |
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大野陽子、林 哲也に抱きつく。 |
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S:82 |
小松原章と西川良太に居所がばれる。林 哲也と大野陽子は、逃げ出す。 |
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S:83 |
大野陽子は、靴を両手に持っている。ごみ箱の後ろに、再び隠れる。 |
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S:84 |
ごみ箱のほうに、小松原章と、西川良太が歩いてくる。林哲也と、大野陽子は、緊張する。 |
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小松原章 |
まだ、このちかくにいるはずだ。 |
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西川良太 |
すばっしこいやつらだ。 |
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小松原章 |
おまえはあっちへいけ、俺はこっちへ行ってみる。 |
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西川良太と、小松原章は、大野陽子と林哲也のまえで、左右に分かれる。 |
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S:85 |
そのすきに、林哲也と大野陽子は、駅の改札口を駆け抜け、電車に飛び乗る。
追ってきた小松原章と、西川良太は、電車に乗れない。 |
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S:86 |
車内から、取り残された小松原章と、西川良太をみる。 |
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