ジャンピー     原作・脚本  匠 雅音
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S:33  マンションの一室。小松原章が新聞で、事故の記事を読む。
小松原章 これか。
小松原章、電話を取る。
小松原章 山田と申しますが、捜査一課の○○課長お願いします。
電話 しばらくおまちください。
 捜査1課長が電話に出る。小松原章が、二言三言喋るが、不明瞭で聞き取れない。
S:34   サウナのスチーム室にて、
小松原章 夕べ、轢き逃げがあったな。そのガイシャの遺留品を調べてくれ。その なかに、CDがあるはずだ。
捜査1課長 それだけでいいのか。判った。電話する。
S:35 ○○警察の正面玄関。捜査1課長が入っていく。すれ違う同僚たちと気軽に 挨拶を交わす。
S:36 捜査1課長、遺留品を調べる。
捜査1課長 ガイシャの遺留品はこれだけか?
若刑事1 ええ、これだけです。なにか? 1課長。
捜査1課長 いいや、いいんだ。

S:37 電話ボックスから
捜査1課長 CDはなかった。
小松原章 そうか。わかった。どうも。
S:38 居酒屋で、
林 哲也 大野さんから借りた5万円が、返せないんですよ。1週間待ってくれっていったら、5万3千円返せっていわれましたよ。まいったな。
内山 徹 それでおまえ、OKしたのか。
林 哲也 表沙汰になったら、まずいじゃないですか。5万円が返せないなんて、恥ですよ。OKしましたよ。しょうがないじゃないですか。
石川直樹 俺なんか、顔が合うたびに、催促されるよ。毎日だぜ。60万だからな。今度のボーナスはパーだな。あーあ。
内山 徹 まだいるらしいぜ。大野陽子から借りているのは。
林 哲也 内山さんは、借りてないのですか?
内山 徹 馬鹿いえ、誰が借りるか。でも、男だけじゃなくて、女の子も借りているらしいな。
石川直樹 たまには、こちらから脅してやりたいよ。何で金なんか借りたのかな。
内山 徹 大野陽子は、ずいぶんと小金をためこんでいるって噂だぜ。いまだ独身 だろ。
そういえば、何年か前に、大野陽子の逆鱗にふれて、婚約者には振られるは、あげくに会社を辞めたって男がいたな。
S:39(回想) 大野陽子の職場
森光太郎 かえしゃいいんだろ。返してやるよ。
大野陽子 そういって、何度目? 男でしょ?
森光太郎 かえすっていってるだろ。
大野陽子 返す? そりゃ誰でも言えるわ。あんた、あっちも役にたたないんじゃ ない? 口ばっかりで。
なによ、元柔道部って、体ばかり大きくって。
森光太郎 …!
大野陽子 大きな図体して。男ってのはね、いったことはやるのよ。それができな いのは男じゃないね。ぶらさげてるものを切っちゃたら!
森光太郎 …!
大野陽子 ○○ちゃんからも、そうやって、貢がせているんじゃない? 私は返して貰いますからね。○○ちゃんとは違うのよ。
森光太郎 …!
 罵倒されている森光太郎の婚約者○○が、すべてを見ている。婚約者○○が、走り去る。
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内山 徹 てなことがあってさ、結局、あいつは結婚もおしゃかになって、職場に いられなくなって、やめたってわけ。
体はでかかったけど、気の小さい奴だったんだなあ。
林 哲也 嘘でしょ。僕は、そんな話は、信じられませんね。大野さんがそんなこ とをいうとは。あの人は、気持ちはいい人なんですよ。つい、ほだされ て、その気になって、人助けのつもりで、お金を貸すんですよ。
僕だって、助けて貰いましたよ。この間なんか、昼飯を奢って貰いまし たよ。あの人は、悪い人じゃないですよ。
内山 徹 大野陽子がおごった!ほんとかよ?
石川直樹 ああ見えても、気持ちはさっぱりしているよ、あの女は。俺も一緒に酒 をのんだことがあるけど、金を借りてなきゃ、いい女だよ。金を借りてなきゃね。
内山 徹、酒が回りくどくなってくる。
内山 徹 でもな、独身っていってな、中年のおやじの愛人でもやっているんじゃ ないんか。それで小金をもってんだよ。いくつだ、大野は。大野のケツを見ろよ。あの女は…、ありゃ歩くスケベ。
林 哲也 …。そりゃ、少しひどいんじゃないですか。内山さん、言い過ぎですよ。 とにかく…、僕には、あの人はいい人です。
内山 徹 気軽に貸してくれるいい人? いい人に首がまわらなくなってんじゃな いの。林くん?
内山 徹、林 哲也にからむ。

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