ドゥマゲテで入院した
熱中症に気がつかなかった   2018.2−記



点滴


ドゥマゴテは海岸線に沿ってレストランが並ぶきれいな街

  ひどい脱水症状だったとかで、水分補給のため点滴を続ける。
力は出ないが、気分が悪いわけではない。しかし、どこかに行きたいという気力もなく、ただ横になっているのが楽で良い。
しかも、点滴の管がついているので、自由に歩き回ることはできない。
Wifiが入らないのでスマホもダメ。本もPCも持ってこなかったので、何もすることがない。
英語の放送局を選んでテレビをみるしかない。
分かりやすいのはスポーツ番組である。もっぱらボクシングとバスケットの試合を見ている。
病院のほうでは細菌性の食中毒も疑っているらしく、検便をせよと言ってプラスチックのカップをおいていく。
アイスクリームのような形で、直径7センチくらいの半透明のカップである。
便をすくう箆までついているので、何となくおかしい。
4時間をおいて3回検便をしなければならないという。何も食べてないので便がでない。もちろん小水もでない。
テレビを見る以外に何もすることはない。

  2時間おきに体温と血圧を測りに看護婦さんが来る。検温は耳にあてると、瞬時に計れる体温計を使っている。
耳に触れる部分に、キャップのようなものをはめて使っている。
このキャップは個人使用らしく、ボクのベッドの脇においてあり、使うたびにはめていた。
体温計はデジタル式で、体温表示を見せてくれる。
37.4度あり、やや体温が高いようだ。


台風の余波でめずらしく雨が降った

検温する看護婦さんと、血圧を測る看護婦さんは別人である。
いずれも感じが良い人ばかり。皆ニコニコと笑顔がいい感じである。
ただし、人によっては英語のなまりがきつくて、聞き取るのにちょっと苦労するが、おおむね意思の疎通には困らない。
検便のときにはpooと言われて、おーそうかと子供に戻ったようだった。
intravenous は知らない単語だったが、こちらは分かった。

  やがて夕食がきた。大柄の男性が弁当のような食事を持ってきてくれた。
しかし、これは付添者用で、患者のボクには何もでない。今日は食事止めらしい。
この病院は付添者の泊まり込みもOKらしく、さかんに泊まっても良いですよという。
かつての我が国でも、入院には付添者が泊まるの当たり前だったから、この病院でも完全看護ではないのかもしれない。
連れ合いが7時頃帰ると、しゃべる相手もいなくなりテレビを見るだけだ。
しかし、まだ体調が戻っていないせいか、横になっているのが心地よく、ウトウトと夢見心地になる。

  9時過ぎにエリンダ医師が回診に来た。肝っ玉かあさんのような感じの豪放そうな女医さんである。
4時間おき3回の検便で、菌が出なければ退院しても良いという。
のどが渇いたと訴えると、水を飲んでも良いという。
ペットボトルの水を入れるように、看護婦さんに指示している。そして、明日の朝食をだすように看護婦さんに指示している。
この時点では食中毒だと思っていたので、医師の話に頷くだけである。
1.5リットルのペットボトルとコップが運ばれてきた。水を飲んでも戻すのではないかと、コップに半分ほど恐る恐る飲む。
旨い水だろうと期待していたが、それほど美味とは感じなかった。
たぶん、身体が本調子ではないのだろう。しばらくじっとしているが、吐き気も感じないし不快感もない。
でも吐くのが怖い。コップ一杯でやめておいた。

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