ダバオ雑感−近代化をめぐって
2017.1.25−記
1. はじめてのダバオ ダバオ市内へ 交通事情
2. 市庁舎付近 夜店にて
3. 庶民の生活 大きい貧富の差    
4. 男たちの盤上ゲーム 世界同時的
5. フィリピーノが妻! フィリピンの英語事情    
6. サマル島にて ダバオ公共市場 最終日  
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ダバオ雑感−5  
フィリピーノが妻! 
 ボクの旅行は、歩くことだ。
とにかく歩く。そして、ときどき休憩する。
マグサイサイ公園で休憩。
見ると爪の手入れをしている女性がいる。
ボクもやってもらう。
お客はベンチに座り、手や足を出す。
女性は風呂場で使うような低い椅子に座り、膝にはエプロンを広げて細々とした道具をおいている。

 手の指から始める。
爪を切り、甘皮の手入れ、親不孝の刈り込みなどなどを行って、磨いてマニキュアをつけて終わりである。
小さな道具を使い分けて、すばらしいテクニックで、指先を1本ずつ片付けていく。
ボクはマニキュアは断って、磨きまでやってもらった。

 手は頼んだが、足の指はどうしようか迷った。
プロの鮮やかな仕事には敬意を表するが、小さな道具が指先の親不孝を切ったりするうちに、小さな傷をつけているのだ。

 サンダル履きの足で、ホコリだらけの道路を歩けば、指先にもホコリやゴミは襲うだろう。
その指先に傷があれば、たとえ見えないほどの傷であっても、バイ菌は容赦しないに違いない。
考えているうちに彼女は足の指も手入れを始めてしまった。yane
まあ良いかで、続けてもらう。
(右の写真は路地でのもので、爪の話とは無関係です。)

 ここからは後日談である。
案の定、日本へ帰った翌日から、右足の中指が疼いてきた。
やっぱりバイ菌が入っていたようだ。
抗生物質入りの薬を塗っておいたら、2日くらいで疼きは消えた。
ダバオにいる間に疼いたらと思うと、ちょっと妙な気分になった。

 話はダバオに戻る。
爪のプロおばさんとつきあっていると、白人の老人が笑いながら近づいていた。
何か言っているのだが、よく聞き取れない。
すると爪のプロおばさんが、彼の奥さんはフィリピン人だと言った。
この近くに住んでいるの?と聞くと、そうだという。
あまり裕福な地域だとも思えないが、フィリピーノと異国で過ごす老後はどんなものか想像する。
爪のプロおばさんたちとも親しそうだから、平穏で幸福な毎日なのだろう。

 1人で街を歩いていると、奥さんはいるかと何度も聞かれた。
いるよと答えると、きまってフィリピーノかと聞かれた。
残念ながら日本人だと答えると、じつに残念そうな顔をされた。
結婚しているかとか、子供がいるかという質問は、アジアのどこでも受けた。
しかし、奥さんがフィリピーノつまり現地の女性かという質問は初めてだった。
おそらく外国人の高齢者が、若いフィリピーノと暮らす例が多いのだろう。

フィリピンの英語事情 
 フィリピンといえば、タガログ語と並んで英語が標準語になっているという。
そのためか、最近では英語留学にフィリピンが選ばれたりする。
しかし、思いの外に英語が通じなかったりもする。

 ロックサス・アベニューの夜店で働く子供たちは、全員が英語を話すわけではない。
英語の達者なおばさんが、英語を話せない子供を馬鹿にして、おまえは勉強しないから英語も話せず、金も稼げないのだといっていた。
学校も途中でやめてしまったのかもしれない。ichiba

 ジープニー運転手の溜まり場で、盤上ゲームを見ながら立っていた。
しばらくすると、後ろから「コピ?」という女性の声がする。
驚いて振り向くと、露店を営む老女がコーヒーを飲むかと聞いているらしい。

 彼女の露店は、路肩の一部にテーブルと椅子を並べたものだ。
そこでジープニーの運転手相手に商売をしている。
コーヒーやお茶なんかもだしているが、珍しい男が来たので声をかけてくれたのだろう。
コピ?という単語で、ボクにコーヒーはどうかと聞いてくれた。
そのとき、ジープニーの運転手が老女に、「Do you like coffee?」って言うんだと、きれいない英語で言ったのだ。
照れくさそうにする老女。
あたりにいた男たちはどっと笑った。

 ダバオでは確かに英語で話すと、たいていの場所で用は通じる。
しかし、総じて訛りが強くて、聞き取るのに苦労することがある。
空港やホテルなど英語が必須の職場でも、必ずしもきれいな英語とは限らない。
彼(女)らの英語も訛りがきついのだが、喋り慣れているせいか早口でかえって聞き取りにくい。
そんななかでジープニーの運転手がきれいない英語を喋ったのだ。

 英語の発音は、英語ができるか否かに関係なく、耳の良さに関連するのだろう。
このジープニーの運転手が、体系的な英語教育を受けたとは思えない。
おそらく彼は耳がよくて、聞き覚えで入ってきた音を忠実に再現しているのだろう。
だからきれいな発音だったに違いない。
コピおばさんの商売ガッツに感心すると同時に、フィリピンの英語事情にも思いをはせるシーンだった。
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