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ダバオ雑感−5 |
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フィリピーノが妻!
ボクの旅行は、歩くことだ。 とにかく歩く。そして、ときどき休憩する。 マグサイサイ公園で休憩。 見ると爪の手入れをしている女性がいる。 ボクもやってもらう。 お客はベンチに座り、手や足を出す。 女性は風呂場で使うような低い椅子に座り、膝にはエプロンを広げて細々とした道具をおいている。 手の指から始める。 爪を切り、甘皮の手入れ、親不孝の刈り込みなどなどを行って、磨いてマニキュアをつけて終わりである。 小さな道具を使い分けて、すばらしいテクニックで、指先を1本ずつ片付けていく。 ボクはマニキュアは断って、磨きまでやってもらった。 手は頼んだが、足の指はどうしようか迷った。 プロの鮮やかな仕事には敬意を表するが、小さな道具が指先の親不孝を切ったりするうちに、小さな傷をつけているのだ。 サンダル履きの足で、ホコリだらけの道路を歩けば、指先にもホコリやゴミは襲うだろう。 その指先に傷があれば、たとえ見えないほどの傷であっても、バイ菌は容赦しないに違いない。 考えているうちに彼女は足の指も手入れを始めてしまった。 まあ良いかで、続けてもらう。 (右の写真は路地でのもので、爪の話とは無関係です。) ここからは後日談である。 案の定、日本へ帰った翌日から、右足の中指が疼いてきた。 やっぱりバイ菌が入っていたようだ。 抗生物質入りの薬を塗っておいたら、2日くらいで疼きは消えた。 ダバオにいる間に疼いたらと思うと、ちょっと妙な気分になった。 話はダバオに戻る。 爪のプロおばさんとつきあっていると、白人の老人が笑いながら近づいていた。 何か言っているのだが、よく聞き取れない。 すると爪のプロおばさんが、彼の奥さんはフィリピン人だと言った。 この近くに住んでいるの?と聞くと、そうだという。 あまり裕福な地域だとも思えないが、フィリピーノと異国で過ごす老後はどんなものか想像する。 爪のプロおばさんたちとも親しそうだから、平穏で幸福な毎日なのだろう。 1人で街を歩いていると、奥さんはいるかと何度も聞かれた。 いるよと答えると、きまってフィリピーノかと聞かれた。 残念ながら日本人だと答えると、じつに残念そうな顔をされた。 結婚しているかとか、子供がいるかという質問は、アジアのどこでも受けた。 しかし、奥さんがフィリピーノつまり現地の女性かという質問は初めてだった。 おそらく外国人の高齢者が、若いフィリピーノと暮らす例が多いのだろう。 フィリピンの英語事情 フィリピンといえば、タガログ語と並んで英語が標準語になっているという。 そのためか、最近では英語留学にフィリピンが選ばれたりする。 しかし、思いの外に英語が通じなかったりもする。 ロックサス・アベニューの夜店で働く子供たちは、全員が英語を話すわけではない。 英語の達者なおばさんが、英語を話せない子供を馬鹿にして、おまえは勉強しないから英語も話せず、金も稼げないのだといっていた。 学校も途中でやめてしまったのかもしれない。 ジープニー運転手の溜まり場で、盤上ゲームを見ながら立っていた。 しばらくすると、後ろから「コピ?」という女性の声がする。 驚いて振り向くと、露店を営む老女がコーヒーを飲むかと聞いているらしい。 彼女の露店は、路肩の一部にテーブルと椅子を並べたものだ。 そこでジープニーの運転手相手に商売をしている。 コーヒーやお茶なんかもだしているが、珍しい男が来たので声をかけてくれたのだろう。 コピ?という単語で、ボクにコーヒーはどうかと聞いてくれた。 そのとき、ジープニーの運転手が老女に、「Do you like coffee?」って言うんだと、きれいない英語で言ったのだ。 照れくさそうにする老女。 あたりにいた男たちはどっと笑った。 ダバオでは確かに英語で話すと、たいていの場所で用は通じる。 しかし、総じて訛りが強くて、聞き取るのに苦労することがある。 空港やホテルなど英語が必須の職場でも、必ずしもきれいな英語とは限らない。 彼(女)らの英語も訛りがきついのだが、喋り慣れているせいか早口でかえって聞き取りにくい。 そんななかでジープニーの運転手がきれいない英語を喋ったのだ。 英語の発音は、英語ができるか否かに関係なく、耳の良さに関連するのだろう。 このジープニーの運転手が、体系的な英語教育を受けたとは思えない。 おそらく彼は耳がよくて、聞き覚えで入ってきた音を忠実に再現しているのだろう。 だからきれいな発音だったに違いない。 コピおばさんの商売ガッツに感心すると同時に、フィリピンの英語事情にも思いをはせるシーンだった。 |
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