ダバオ雑感−近代化をめぐって
2017.1.25−記
1. はじめてのダバオ ダバオ市内へ 交通事情
2. 市庁舎付近 夜店にて
3. 庶民の生活 大きい貧富の差    
4. 男たちの盤上ゲーム 世界同時的
5. フィリピーノが妻! フィリピンの英語事情    
6. サマル島にて ダバオ公共市場 最終日  
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ダバオ雑感−4  
男たちの盤上ゲーム 
 路上で遊ぶ男2人を、2カ所で発見した。
ベニヤ板にマス目を書き、ペットボトルのキャップを並べている。
マニラの繁華街では盤上ゲームに興じる姿をみなかったが、ダバオでは男たちが熱心に遊んでいた。

 王冠を使うのはタイのダームと同じだが、マス目の書き方が違う。game
斜め線が入っている。
挟んで取るのは同じらしい。
終盤になると一度に2〜3ヶの駒がとれるようだ。
短時間の観察では、このルールは判らなかった。
これ以外にチェスをやっているシーンを3回みた。
そのうちの2回はタクシーの窓越しだったので、写真が撮れず実に残念だった。

 ジープニー運転手のたまり場で、再度、盤上ゲームを発見。
若い男と中年男性が盤を間に座っている。
何人かの男たちが周りを取り囲んでいる。
男ばかりのお馴染みの光景である。game-1
近づいて見物人の中に入る。

 盤上ゲームに興じる2人には圧倒的に実力差があり、年寄りの方が立て続けに3回も負けていた。
1ゲームに20ペソを賭けており、残念そうに20ペソ紙幣を渡すのだが、それでも止めずに挑戦していた。

 論理を遊ぶ盤上ゲームは男のものだ。
麻雀やカードのように運がからむゲームは、女性たちも大好きだ。
ダバオでも何カ所かで見た。
しかし、論理を突き詰める将棋やチェストいった盤上ゲームには女性は手を出さない。
この原則はダバオでも例外ではなかった。ches
近代が論理から始まったとすれば、近代は男性の切り開いたものだったのだろうか。

 フィリピンでは盤上ゲームはすでに峠を越えたのか、それともこれから普及するのか今回だけでは判らない。
路地先の小さな店にはPCがおかれインターネットに興じているが、子供たちが携帯型のデジタル・ゲームに興じるシーンが少ないこと。
また街の雰囲気や外来品との価格差などを考えると、フィリピンの近代化はこれからが本番のような気がする。
そうしたことを考えると、男たちが盤上ゲームに興じるのも、これからが本番のように思える。

世界同時的
  鷲はフィリピンの国鳥で、絶滅の危機にあるらしい。
フィリピン・イーグル・ファウンデーションで保護・飼育されている。
鷹を見にダバオの街からタクシーで1時間も離れた山の中までいった。
タクシーの運転手が気を利かせて、帰りにはジャパニーズ・トンネルに案内してくれた。
戦争中に日本軍が掘った穴だとかで、付近には日本人観光客相手のレストランなどがあった。

 元日なのでレストランはどこも休み。
帰りに昼食を食べたいというと、運転手はジャックス・リッジという高級レストランに連れて行ってくれた。
山の中腹にある大きなレストランで、ロケーションはすばらしくダバオの街が一望できる。
夜でも来れば、さぞやと思わせた。

 しばらくすると10人くらいの家族連れが、隣のテーブルに陣取った。
ダバオでは大家族でのイベントが多いようで、どこでも大家族で移動する姿を見る。
後述するサマル島の海水浴場でも、20人くらいの大家族はざらにいた。
家族連れの中のお婆ちゃんらしき女性が、孫だろうか3歳くらいの子供をあやしている。

 そのお婆ちゃんが子供相手に、フォークを握って「I have a fork」と歌った。
聞いたことのあるメロディだ。
PPAPだ!
彼女は「I have a pen」をもじって歌ったのだ。
何と、ここでもピコ太郎が流行っていた。
驚いた。
英語が普及している国だから、お婆ちゃんが英語で歌ってもおかしくはない。
ユーチューブの影響力!

 世界各地には固有の文化がある。
もちろんダバオにもあるだろう。
今まで各地に固有の文化はあったが、世界同時的な流行は見なかった。
しかし、今では世界同時なのだ。
それをショッピング・モールでも感じた。
ダバオには大きなショッピング・モールがいくつかある。sm
ショッピング・モールは中産階級を相手にしたもので、もちろん入り口には手荷物検査をするガードマンがいて、貧乏人は入場を排除されている。

 ダウン・タウンの近くにある<ヴィクトリア・モール>は、古いらしく店もちょっとくたびれている。
しかし、右の写真のような最新の<SM>はきわめて大きく、アプローチから店内までピカピカである。
そこにはSONY、PanasonicなどからNIKEなどなど先進国のブランドは何でも揃っている。
しかも、そこで流れている音楽は、Taylor Swiftの「Shake it off」だったり、The Chainsmokersの「Closer」だったりと、先進国と同じなのである。

 マニラから飛行機で1時間半も離れたダバオは田舎である。
そのショッピング・モールに、「Closer」が流れていることを想像して欲しい。
レストランで老女がPPAPを歌ったのも驚いたが、どこの中産階級も同じ生活を指向している感じがする。

 かつてパリに住んでいる姪が、日本に来たときNicki Minajの「Starships」を話題にしていた時も、パリとニューヨークでは同じ曲が流行っているのかと驚いたが、ダバオの田舎でも先進国と同時進行なのだ。
ダバオのショッピング・モールでもレノボはもちろんHuaweiまでが、AsusやSamsung、Canonなどと並んで出店している。

 1995年頃ベトナムのハノイで、ボクはSamsungの看板を見た。
それから、20年しないうちに日本企業は負けてしまった。
世界中が同じ地平に立とうとしている。
タタの車と言い、今後、ますます競争が激しくなるだろう。
我が国の長閑な自賛的な技術賛歌はむなしく聞こえてくる。
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