初老人たちのチェンマイ旅行
2015.3.31−記
第1日目 チェンマイに到着 ナイト・バザーへ
第2日目 シリランナー・ホテルについて 市場から昼食へ 北部料理と美女たち
第3日目 ピン河の舟遊び 再びピン河へ ナイト・サファリへ
第4日目 旧市街探索 プールで 最後の食事
雨中居のトップに戻る


第4日目−1   旧市街探索  

 今日はもう帰る日である。
しかし、飛行機が夜の8時50分なので時間がある。
ホテルで朝食を済ませ、午前中は自由行動となる。
チェックアウトする者は、荷物をフロントに預ける。
4人と2人のグループに分かれる。


堀にかかる人間専用の橋

 4人でお寺を見に行くことになった。
チェンマイには無数のお寺があるが、どのお寺を見ても同じように見えるので、観光客としては一つ見れば充分と思ってしまう。
こちらにお寺に関する素養がないから、違いがわからないのだ。
しかし、折角チェンマイに来たのだから、もう一つくらいは、お寺を見ようと言うことになった。

 ワットサンポウという小さなお寺に行く。
ほとんど人がいない。
日本の寺院のように森閑としているわけではなく、何となく日常の続きといった感じが満ちている。
仏様もゆるい感じで微笑んでいる。
全身が金ピカだから、日本的な有り難さはまったく感じない。
むしろ、すぐ身近にある優しい桃源郷のような感じがする。
本堂の中で、しばらく時間を過ごす。

 ここで3人と別れ、これからは単独行である。
ボクは旧市街の写真を撮りに街を歩く。
チェンマイは西安のように、四角い城壁に囲まれていたのだが、現在ではほとんど城壁は残っていない。
四隅の部分の城壁だけが残っている。
しかし、城壁の外にある堀はしっかり残っており、この堀に囲まれた部分が旧市街である。
旧市街は小さく、30分も歩けば端から端まで行ける。

 ワットサンポウから北に向かい、堀に沿って左折して西へと歩く。
堀の向こうに何やら他とは違う感じのするお寺が見える。
堀には人間専用の橋が架かっている。
橋を渡って近づいてみる。
色や建物の形は違っても、基本的な雰囲気は同じである。
とにかくノンビリとした空気が漂っている。
ゆったりしている。同じお寺でもバンコックではこうはいかない。 

 菩提樹の下には小さな仏様が、無造作に安置されている。
我が国なら真っ直ぐに立っているであろうが、こちらではちょっと傾いでいたりする。
それでも気にすることはない。
その何気なさ、無造作な様子が、ゆとりを感じさせるのだろう。
こうした雰囲気で暮らしていると、引きこもりなど起きようがないと感じる。
大人たちが昼寝をしていても許される国は、豊かな風土に恵まれているに違いない。

菩提樹の葉をかたどった絵馬
 菩提樹の葉をかたどった金ピカの絵馬があった。
丸文字でいろいろと書いてある。
よく見ると菩提樹の中央の印がちょっと違う。
ケースには12の引出があり、少しずつ違った菩提樹の葉が入っている。
人は自分の菩提樹の葉を選んで絵馬とするのであろう。

 ボクはどれを選べよいか、近くで昼食の体制に入っている若いお坊さんに聞いてみた。
すると生年を聞いてきた。
釈迦が入滅した翌年がタイの仏滅紀元だそうで、ボクの生年に543年足すと、現在の仏教年齢がでるのだという。
加えた数字でもって、12のケースから選んでくれた。
20バーツの喜捨と共に絵馬を奉納する。

 堀の内に戻って西の方へ向かう。
そして、堀の角を南へと転じる。
今日は旧市街を徹底して歩いてみるつもりである。
1995年頃には、至る所でダームが遊ばれていたが、今ではまったく見ることができない。
ナイト・バザーと市場付近でやっていただけだ。
しかも、2組とも中高年だった。
かつては若者もやっていたが、今の若者は携帯ゲームなのだろうか。

 すでに遊ばれなくなって久しいダームのテーブルが、家の軒先に転がっていたりする。
ホコリだらけで、明らかに使われていない。
去年、バンコックで見たダームも僅かなものだった。
チェンマイのほうが田舎で、バンコックより近代化は遅れているはずである。
そのチェンマイでもダームが廃れているのだから、タイはすでに近代化が成熟しつつあるのだろうと思う。

 細い路地へ入り込み、また広い通りへと出てくる。
大きなお寺の裏にでた。
あまり自信はないが、ワット・ムーングンゴーンだと思う。
何しろあちこちにお寺だらけで、いちいち名前を確認してはいられない。

このお寺は大きい。
本堂の裏側には、学寮だと思われる3階建ての建物が何棟も並んでいる。
その窓からは黄色い袈裟が干されており、いかにも男所帯といった感じが漂ってくる。

 本堂のほうへ目を向けると、敬虔な女性たちが柄杓で水を流して、頭を下げている。その姿が何とも気楽で、楽しげである。そっと写真を撮らせてもらうが、目が合ってもフッと微笑むだけ。だんだん暑くなってきた。南側の堀までたどり着いた。
 堀に沿って歩かずに、また細い路地へと入っていく。寮のような建物の脇をとおる。ちょっと厳めしい男たちが多いような感じ。警察が近いので、警察の寮かも知れない。そういえば赤色灯をつけた車も止まっていた。しかし、汚い外観である。外壁の手入れをしないから、ただ汚くなっただけという感じ。お寺の学寮よりも殺伐として、親近感がわかない。

 狭い路地から、ちょっと広い路地へと歩く。
するとドラエモンの布団が3枚も干してあった。
たくさんの洗濯物が干してあったので、兄弟が多いのかも知れない。
ドラエモンやピカチュウは、世界中で見ることができる。
もう日本の国籍じゃなくて、世界の市民になりつつあるかも知れない。

 暑さに負けて、徐々にホテルへと足が向かう。
一応、旧市街を一周したし、と納得させながらホテルへの道を歩く。
広告

次へ