初老人たちの西安散策
2012.5.12−記
第1日目 西安に到着
第2日目 兵馬俑を見に行く 我要酒 国民不能喝
第3日目 城壁上のレンタサイクル
第4日目 イスラム寺院
第5日目 乗り継ぎは大変 雨中居のトップに戻る


第2日目−2   我要酒 国民不能喝  

 昼食を終えると、その後、楊貴妃が入ったという風呂がある華清池に案内された。
華清池の前は道路工事中で、大勢の人たちがスコップを使ったりして、ノンビリと働いていた。
中国では人海戦術が多いのだろう。
こうした労働が、兵馬俑をつくり、万里の長城を作ったのかと思うと、気が遠くなる。
我が国の土工と違って、彼らは作業着を着ておらず、みな思い思いの服装である。
中には背広姿の人も居る。
こうした様子はアジア中で同じで、作業着が普及している我が国が特別のようだ。

この建物の中に楊貴妃の入った風呂がある

 華清池も大きな観光地なのだろう。
大勢の中国人が来ている。
110元の入場料を支払って中に入る。華清池の中に入っても、あちこちで工事中である。
ここは今でも温泉が出ているようで、観光客でも128元の入浴料さえ払えば入浴できる。
按摩が50〜100元なのに対して、Concubine's Luxurious Bathing Pool が880元もする。
妾的贅沢とは、一体どんなサービスなのだろうか。
興味はあったが入浴はしなかった。

 次は歴史博物館である。
ここは入場料も65元で、ぐっと地味である。
6千年前の生活を復元しており、いわばジオラマである。
竪穴住居のようだ。
外敵や動物の襲来を防ぐために、集落の廻りに堀を巡らしたり、さまざまな工夫をしている。
中国人観光客はほとんどいない。

 先生に引率された小学校低学年の子供たちの集団に出会った。
彼(女)等は全員が首に赤いネッカチーフを巻いている。
ガイドさんによると、赤いネッカチーフは共産党員の子弟の証だという。
子供の頃から、徹底した特別教育を施され、エリートとして育てられていく子供たち。
様々な思いがかけめぐる。

 見学を終えると、ミニバンが博物館の前に待っている。
それに乗り込んで、スモッグに煙る市内へ戻る。
お抱えミニバンは、見たいところへとピンポイントで連れて行ってくれる。
しかし、寄り道もないし道中のゴタゴタも無縁なため、街を見た感じが極めて薄いのも事実である。
台中で鹿港へとバスで行ったときのような、雑多な感じがなかったのは、ちょっと寂しかった。

 ホテルでちょっと休憩の後で、夕食を食べようと街にでる。
北大街と東大街の交差点まで歩くが、飲食店が見つからない。
大飯店の看板はたくさんあるのだが、街の飲食店がないのだ。
この交差点は、中心に鐘楼(=ベル・タワー)という建物があり、その建物を取り囲んで大きなロータリーになっている。
そして、このロータリーから北に延びるのが北大街、南が南大街、西が西大街、東が東大街である。

 南北・東西に走る大街は、名前の通り広い道である。
中央分離帯があり、道を歩いて横断できない。
道路の反対側に行くのには、地下の横断道路を通ることになる。
この地下道がなかなかに長いのだ。
それに渋谷の駅前交差点以上の人の多さ。
道路の横断が一仕事である。
飲食店を求めて、北大街から南大街へと歩くが、それらしき店は見当たらない。

 遙か彼方にネオンが煌びやかな建物が見える。
あれではないかと思うが、もし外れたらどうしようと思うほど遠くに見えた。
勇を鼓して、歩き始める。
見上げるばかりに高いネオンの建物に近づくと、それらしき臭いがしてきた。
清真大寺のほうへと歩く。
にぎやかな通りにでた。
飲食店がありました。

鐘楼のむこうに有名な餃子屋さんがある

 西安の名物は餃子である。
どこの店も餃子を看板にしている。
暖気を逃さないためだろう。
どこの店も、分厚いビニールの短冊状のカーテンを下げている。
どこでも同じだろうと、そのカーテンを押して手近な店に入る。
ビニールのカバーの掛かったテーブルに座る。
十代と思われる可愛い女の子が、注文を取りに来る。
メニューは写真入りだから判りやすい。

 各自がそれぞれに別々の餃子をたのむ。
羊の焼き肉を頼んだら、82元だけれど良いかと確認してくれる。
餃子が20元程度の中で、ひときわ高いので心配したのだろう。
やれやれ。
さーあ、ビールである。
我要酒、と書いて見せた。
すると、メイヨー(没有)と言いながら、国民不能喝、と書いてきた。
国民は酒を飲まないだって!

 我々初老人一同は、飛び上がって驚いた。
中国人が酒を飲まないなんてことがあるのか。
イヤ、ないだろう。それとも外では飲まないといことか。
そう言えば、台中でもビールを手に入れるのには苦労した。
何と言っても、酒はないという一点張り。
ビールへの期待がしぼんでしまった一同は、心底ガッカリした。

 餃子はドンブリの中に入って出てきた。
いわばワンタンのようで、ドンブリの中には野菜や肉などの具も入っている。
また餃子の中味もさまざまで、味付けが違うのである。
決して不味いわけではないが、我が国で食べているような焼き餃子ではないので、ちょっと違和感があった。
しかし、こうしたものだと思えば、何の問題もない。
美味しく食べた。

 焼き肉は食べきれなかったので、我要持帰と書いたら、テイクアウトの用意をしてくれた。
もちろんドギィバッグなど洒落たものではなく、出てきたのは単なるビニール袋だったが…。
帰り道、コンビニに寄ってお酒を買ってきた。

 歩道で踊りを踊っている人たちがいた。
30人くらいだろうか。
すでに夜だというのに、実に楽しそうだ。
ホテルに戻って、麻雀ができるかと聞く。
すると、同じ敷地内の別棟のホテルにあるという。
そこへと出向くことになった。

 2階にいくと受付カウンターがあり、若い女性が対応してくれる。
廊下を曲がると、小さく区切られた小部屋がいくつもあり、そのうちの1つではカードなどを遊んでいる。
熱くなったらくし、大声が廊下まで聞こえてくる。
最初の部屋にあった麻雀台が、不調で部屋を変える。

 ここにあるのは自動式の麻雀台なのだ。
中国ではハナパイを使うらしく、パイの数が多い。
麻雀台もそれに対応して、数の多い仕様になっている。
つまり、パイが下から上がってくる卓の切り口が、少し長いのだ。
何も西安まで来て麻雀でもないだろうと言いながら、麻雀をしながら西安の夜は更けていくのだった。
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