20年ぶりのアメリカ
2011.10.5−記
第1日目 アメリカ再訪
第2日目 バーリントン、バーモント
第3日目 バーリントンの風景
第4日目 モントリオール
第5日目 モントリオールからボストンへ
第6日目 ボストンの安宿
第7日目 ワンダーランド
第8日目 セイラムの魔女
第9日目 ボストン市内
第10〜11日目 旅行も終わり
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第2日目   バーリントン、バーモント  

第2日目(9月9日:金)
 気持ちの良い朝。ヒルトン・ホテルの窓からは、シャンプレイン湖が美しい。
早速、散歩に出かける。
あまり人通りのない街を、ジョギングのランナーが駆け抜けていく。
近くのスキニー・パンケーキ・カフェという喫茶店の店先では、地元の人たちが朝食を取っている。

 シャンプレイン湖の畔に行ってみる。
湖をめぐる観光船があるのだが、朝のコースは15人の必要人数が集まらずにキャンセルになった。
ランチコースなら乗客が集まるから、12時に来てくれといわれる。
受付の女性の英語に訛りがある。
おそらく移住してきたのだろう。

 時間があるので、ダウンタウンへと向かう。
長閑な田舎町で、緩い陽光に出勤する人もいる。
州裁判所の建物があったり、ダウンタウンへの道すがらメイシーズが目にはいる。
朝のせいか、人は多くはない。
ダウンタウンといっても坂の上にあり、チャーチ通りという1本の繁華街があるだけ。

 チャーチ通りは教会の前から、緩く下りながら、湖と平行に北から南へと続いている。
わずか600メートルくらいの道で、両側に商店が並び、車は進入禁止になっている。
昼過ぎには道路上に椅子やテーブルが並ぶが、まだ店はどこも閉まったままである。
ブラブラと歩きながら、街の様子をながめる。

 北部の白人街らしく、道行く人たちはマナーが良い。
目が合えば必ず笑顔が返ってくるし、見ず知らぬの我々にもグッドモーニングと挨拶の声がかかる。
この街にはバーモント州立大学があるせいか、若者の姿が目立つ。
それに小さな子供連れが多く、老人が少ない。
アメリカの学生達は、みな質素な服装である。
我が国の若者のほうが、遙かにお洒落にお金をかけている。

シャンプレイン湖を見る

 シャンプレイン湖畔に戻ると、乗船が始まっていた。
ずいぶんと大きな船で、客が乗るデッキは、3層になっている。
30人くらいは乗っているだろうか。
ボクたちは最上階である。
湖面は凪いており、舟はほとんど揺れない。
静かに湖岸を離れる。

 広い3階のデッキは、ほとんど貸し切り状態である。
サービスをしてくれるウエイトレスの女性が、ボクのカメラに目をとめる。
彼女も写真をやっているらしく、ボクのカメラが羨ましいようだ。
盗んでしまいたいと冗談を言っていた。
聞けば、人物を中心に撮っているという。
まだ学生のようで初々しい。
ウエイトレスはアルバイトなのだろう。

 1時間半で船着き場に戻る。
湖畔に立つ博物館に入る。
地元の人を対象にした小さな博物館だが、館内には真面目さにあふれ、参加型の展示に工夫が凝らされている。
ボランティアらしき中年女性たちが、テキパキと解説してくれる。

 ダウンタウンへ戻ると、朝の静けさとはうってかわって、店は開き大勢の人が道を歩いている。
田舎町らしく灰汁抜けはしないが、バーモントらしさが演出され、ウィンドーを眺めるだけでも楽しい。
大学町だからだろうか、画廊が多い。
バスの発着所の近くには、「Ben & Jerry」のアイスクリーム屋もある。
昔、アメリカのアイスクリームには感激した。
いまでは我が国のアイスクリームも美味しくなって、「Ben & Jerry」程度では驚かなくなった。

 ダウンタウンから市バスに乗って、当てもなく郊外に向かう。
驚くべきことに、今日は1ドル25セントの乗車賃がタダである。
1年に何回か無料になる日があるらしい。
乗客達は驚き戸惑いながらも、運転手に有難うといって降りていく。
こんな時、我が国の乗客ならどんな反応をするだろう。

 公正さを追求することにかけて、アメリカは実に真剣である。
その一環だろう。
足の悪い人が乗ろうとすると、このバスは車高を下げるのだ。
しかも新型のバスでは、乗降口の部分から歩道へと、乗降用のステップが出るような仕掛けになっている。
ハンディギャッパーへの対応には感心するコトしきりである。

バスの前の自転車ラック

 このバスには、もう一つ面白い仕掛けがある。
バスの前面に、自転車をかけるラックが設置されている。
バスの乗客になれば、自転車を無料で運んでくれる。
自転車をかけるのは乗客自身がやる。
運転手は口頭で助けるだけだと、前面に書かれている。

 バスに乗るのは、学生と貧乏人だけ。
普通の人たちは、みな車で移動する。
学生を除けば、乗客は驚くべき肥満体ぞろいである。
デブさは我が国とは桁が違う。
ジョギングに汗を流すのは、それなりにインテリでお金がある人たち。
貧乏だから肥満体になるのか、肥満体になったから貧乏なのか。
考えさせられる。

 バスの終点は、ホーム・デポとウオールマートだった。
ホーム・デポはその巨大さにも感心したが、何よりも安いのだ。
400リッターくらいのGEの冷蔵庫が800ドル。
薪ストーブが200ドル。
日本でなら同じ冷蔵庫が30万円はするだろうし、薪ストーブは50万はする。
いったい日本の価格はどうなっているのだ。

 冷蔵庫はアメリカ製だから安いのだろうって。
そんなことはない。
リョウビのドリルの刃セット。
日本でなら5千円はするだろうと思う物が、10ドルを40%オフで売られていた。
6ドルということで、思わず買ってしまった。
マキタのドリルも安かったので、買いたかったが、荷物になるので諦めた。
ウォールマートだって安かった。
円高と言うけど、輸入業者はたらふく儲けている。
日本の企業は、自国民を馬鹿にしているんじゃないだろうか。
また、タダのバスに乗って、ダウンタウンまで帰ってくる。

 7時に、ホテルのロビーで、友人達と待ち合わせ。
友人の娘が歓迎の夕食会を催してくれた。
かつて勤めていた中華料理店にいくも、満員で入れない。
チャーチ通りのイタリア料理屋に行く。
金曜日の夜とあって、店は一杯である。何とか席を確保してもらう。
ディヴィッドというウエイターがサービスしてくれる。
こちらではウェイターやウェイトレスが、自分の名前を名乗るのだ。

 カルフォルニア・ワインで乾杯。
話は尽きないが、娘が寿司弁当をだしているスーパーへと見学に行く。
娘は起業家なのだ。
ボクは酔っぱらって、その後のことは良く覚えていない。
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