ハノイ→サイゴン
2011.6.10−記
第1日目 ハノイ再訪 ホアンキエム湖
第2日目 女性の喧嘩 水に当たる
第3日目 Google Hotel 阮朝王宮
第4日目 ツアー・バス 白人女性のタフさ
第5日目 ダナンへ サイゴンへ
第6日目 中国将棋 雨中居のトップに戻る


第1日目−1   ハノイ再訪  

  脳梗塞の発症から5年がたった。
体力的にも何とか自信を取り戻してきたし、お目付役からも1人旅の許可がでた。

 小手調べをかねてベトナムへ1週間の旅にでた。
田舎に行くのは次回にして、今回は都市を廻る楽な旅にした。
ハノイに入って、フエまで列車で移動し、フエからサイゴンへは飛行機というお気楽旅行である。

 12年前の1999年にもベトナムへ行っている。
この時にはハノイからラオカイ、サパ、ディエンビエンフー、ソンラー、マイチャオと廻ったが、各地で中国将棋が遊ばれていた。
それがどんな具合になっているか、その後を期待したのである。

 ヤンゴンをラングーンと呼んだほうが馴染みが良いように、ホーチ・ミン・シティもサイゴンのほうが馴染みが良かった。
しかし、今回の旅行では、共産主義の生活への浸透を感じたのも事実である。
何処がと言うのではないが、3回目のベトナム訪問は、かつての旅に比べると座りの悪い雰囲気を感じさせもした。
名前の通りサイゴンから、ホーチ・ミン・シティに変身してしまったのだろうか。

第1日目 
 5月16日(月)午前10時30分、ベトナム航空VN955で成田を発つ。
ハノイ着1時55分である。午後のこの時間に着くのがとても良い。
市内までミニバスで40分。
まだ充分に明るいので、ホテル捜しも安心である。

 1999年に行ったときには、工事中だったノイバイ飛行場は、規模が大きくなっていた。
しかし、すでに汚れている感じで、ずいぶんと時間がたったような雰囲気である。
真っ直ぐになるべきところが微妙に曲がり、天井板は波打ち、日本の建築を見た目にはいささか拍子抜けである。
施工技術の低さが、あちらこちらに目立っていた。

ノイバイ飛行場

 入国審査の台はガラス張りの先進国並みになり、かつては制帽が置かれていたカウンター上には何もない。
入国カードの記入がガイド・ブックに書かれているが、どこにも入国カードらしきものはない。
出国の時にも、何も言われなかったから、入国カードは廃止されたのだろう。
出国時にはカードの記入をめぐって、ワイロを要求されたなど、いろいろと噂があったので、入国カードの廃止は良いことだ。

 入国審査の運用は途上国のそれであり、あたりには手持ちぶさたな役人がウロウロしている。
イマイチの雰囲気を感じながら、無事に入国する。
すると次には、機内持ち込みの手荷物をX線検査機に通せと言う。
これは以前にもあったし、インドなどでもやっているから黙って従うが、検査官は自分のケイタイに夢中で画面を見ていない。
もちろん何ごともなく通過する。

 空港ロビーの銀行で換金する。
1万円が2,470,900ドンになった。
12年前は、1万円が1,075,000ドンだったから、物価は2.3倍になっていると言うことだろうか。
(地元の人も下3桁を省略して呼んでいるから、これからは下3桁を省略して1075ドンと表記する)
 
 案内カウンターで市内へのバスを聞く。
台湾のサービス精神とはまるで違う。
カウンターの女性が、バス停の方向をアゴで示すだけである。
ベトナムの公務員にはサービスという概念がないのだろう。
運賃は3ドルから2ドルへと値下がりして、チケットはバスの運転手から買うようになっていた。

 外へ出ても、客引きが殺到してくるようなことはない。
タクシー?と声がかかるが、けっして無理強いはしない。
気に入ったら乗って、といった程度である。
焦らなくても、お客がいるのだろう。
需給のバランスがタクシー側に有利だから、強引な客引きをしなくても良いのだと思う。

 かつては外国人専用だったミニバスも、ベトナム人にも開放されたようだ。
12人乗りのハイエースに乗っているのは、ほとんどベトナム人で外国人はボクを含めて4人だけ。
そのため、ホテルの客引きを兼ねる車掌は乗り込んでこない。
満員になり次第発車するので、客待ちでノンビリしている。
その間にも、後ろのタクシー乗り場からは、ひきりなしにタクシーが発車する。

 この12年間は、ベトナムにとっても大きな変化があったようだ。
ドイモイ政策のおかげか、ずいぶんと豊かになったように見える。
ほとんどの人がケイタイをもっており、ミニバスの中でも、しばしば呼び出し音がなる。
無言の外国人に対して、元気がいいのはベトナム人である。

ハノイ市内

 ミニバスが走り出すと、街にオートバイの増えたことに気づく。
ハノイはサイゴンと比べて、何処かノンビリしていたが、かつてのノンビリとした首都ハノイのイメージはない。
他のアジアの国とまったく変わらない喧噪ぶりである。
それは市内にはいると、ますます強くなる。

 ミニバスは途中でお客をおろしながら、ソンホン河をわたって市内に向かう。
あたりの住宅は茶色の屋根がそろって、まるでおとぎ話に出てきそうな家並みである。
何度か角を曲がって、以前と同じベトナム航空事務所前に着く。
さて、ホテル探しである。
ホアンキエム湖の西岸を北上する。
何と、誰も将棋をやっていない。
12年前には夕方ともなれば、将棋盤の廻りは黒山の人だかりだった。

  あちらでもこちらでも、中央に置いた将棋盤を囲んで、岡目八目の集団がたくさんあった。
しかし、今回はまったく将棋をやっていないのである。
将棋など論理を遊ぶ盤上遊技の普及度が、近代化を計るメルクマールだと考えているボクは、この現象をどう見るか歩きながら考えている。

 ホアンキエム湖の北側には、「ハノイ36通り」と呼ばれる旧市街が広がっている。
ここには様々な商店がぎっしりと軒を並べ、ゴミゴミとした密集地域を形作っている。
超近代的なビル群を見るなら、先進国へ行けばいい。
古い歴史の中に生きる強かな庶民の生活、そんな中の息吹を感じたくて旧市街に来たのだ。

 旧市街にも新しいホテルがたくさん建っている。
今回はあまりケチらないで行くつもりだから、前回のように10ドル以下ではなく、20ドル前後のホテルにしよう。
それにベトナムの物価も上がったと、ガイドブックにも書かれている。
最初に入ったホテルでは20ドルという。
3階の部屋を見せてもらうと、ムッとした熱気を感じた。ちょっとパスである。

 次は6階建てのホテル。
最近できたらしく、奇麗なホテルである。
Sunshine と言う名前がおかしい。
朝食込みで22ドルという。
部屋を見せてもらう。
エレベーターがある。
6階には3部屋あり、22ドルの部屋はなかなか良かった。
清潔でバスタブもあるし、クーラーもある。
しかし、外部に面した窓がない。

 窓のある部屋はないのかと聞くと、27ドルといって、隣の部屋に案内してくれた。
パソコンもあってインターネットも無料。
後で判ったのだが、このパソコンには日本語のブラウザーが入っていた。
もちろん、バスタブもあるし、クーラーも動く。窓からの見晴らしも良い。
この部屋に決めて、チェックインした。 
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